こんにちは、夏目江理です。
私はいまでこそ、
心の底から満たされる恋愛や、
ああ〜〜この人生を送れてよかった…
と思えるほど
幸せなセックスを楽しんでいますが
かつてはいじめ経験で自信を喪失し、
人の目を気にしすぎて
「自分の意見がぜんぜん言えない」
そんな性格でした。
恋愛やセックスでも同様で、
相手に嫌われないように振る舞い
ストレスを溜めまくり情緒不安定。
定期的に、このままでいいのかなぁと
涙を流してモヤモヤしている人生でした。
人生における後悔って、
「あのとき、勇気が出せなかった」
「あのとき一歩踏み出していたら、
どんな人生だったろうか?」
こんな悔しさから生まれるような気がします。
そして数年前、
私がアフリカのガーナに滞在したとき
そのような体験をしたのです…
もくじ
ガーナという国の将来を語る、まっすぐな目の青年に出会った
当時の私は、早稲田大学生でした。
学歴はリッパに見えるけど、
自分に1ミリも自信がなく
自己嫌悪と承認欲求まみれでした。
だからこそ、
「同級生があまり行かない国に滞在して、
自分の希少価値を上げたい」
と、ガーナ共和国行きを決定しました。
(ドン引きするほど偏った考え方ですね。笑)
いろいろな手続きをして、
ガーナに2週間の滞在が決定。
ガーナ大学の青年たちの指導のもと、
現地ボランティアをすることになりました。
アドウマシという小さな村の小学校で、
日本の歴史や伝統文化を伝える授業を担当しました。
日本を代表して英語の授業をするのはドキドキでしたが、
承認欲求を満たすためにも(笑)
チャレンジしました。
現地に着く前から、メールでいろいろ助けてくれる
ガーナ大学の青年がいました。
名前は、ここでは「アンドリュー」としましょう。
私の英語は決して流暢ではなかったけど、
アンドリューはいつも丁寧に返信して
くれていました。
「どんな人なんだろう…」
私は、アフリカ出身の同世代と
あまり話したことがなかったので
少しドキドキしていました。
そしてついに、
ガーナへ出発する日。
東京の空港からガーナまでは、
最短でも19時間かかります。
私は、中国経由のフライトで
夜をこえてアフリカを目指すことに。
「こんなに長い時間、飛行機で何すればいいんだ…」
と、絶望するほど(笑)
離陸時に
飛行機がキュルキュルキュルッッッ!!!
という奇音を発して、もはや死を覚悟したり。
窓から見える景色が
ひたすら海・海・海!だったり、
見たことのない色の
大陸の景色だったり。
中国で乗り継ぎした時点から
日本人乗客がほとんどいなくなって
めちゃくちゃ心細くなったり…
「初体験」が多すぎて、
退屈とドキドキが交互にやってくる感じで
意外と飽きませんでした。
そんなこんなで、長旅を経て
無事にガーナの空港に到着したころには
もうクタクタ…
空港ではアンドリューが
待っていてくれていたのですが、
不眠と疲労で、もはやそんなウキウキは
頭から飛んでいました。
ぼんやりと、空港の外まで歩いていると…
「やあ、君がなつえりちゃんかな?」
私の方に近づいてくる人影に気づき、
顔を上げると…
カジュアルなTシャツ短パンに
がっしりとした骨格の青年が、
スッと背筋を伸ばして
正面から私を見つめていました。
私の心の声
↓↓↓
まっすぐで透明な瞳だなぁ…
というか…好みのタイプかも…!
…はっ、私はボランティアで来たんだから、
浮ついた気持ちでいたらアカン。
「はじめまして!あなたがアンドリュー?よろしく!」
「そうだよ。ここでは僕が案内役になるからよろしくね。」
私の心の声
↓↓↓
物腰が柔らかくて、
優しい声だなぁ…
って、イカンイカン!
そこから、
アダウマシ村の宿泊先を案内してくれて
大家さんに挨拶。
道中は、アンドリューが
ガーナ大学で学んでいることや、
将来の夢について語ってくれました。
僕が生まれ育ったガーナという国は
まだまだ豊かな国とは呼べない。
もっといい国をつくっていくため、
自分がリーダーになって引っ張っていきたい。
だから街づくりの分野を学んでいるんだ。
そう教えてくれました。
当時24歳だった私と同い年くらいなのに、
世界や国を見据えているアンドリューの背中は、
なんだか、もっともっと大きく見えました。
私の心の声
↓↓↓
カッコいいなぁ(正直)。
それから、村の中を案内してもらったり、
ガーナ大学の同級生を紹介してくれたり。
私が、ボランティア授業の前に
緊張していたら、励ましてくれたり。
アンドリューはいろいろな場面で
サポートしてくれました。
当時、ガーナの田舎では
「日本人がやってくる」だけで
かなり珍しい状態でした。
地元の人たちから
めちゃくちゃ質問攻めにあうことも
日常茶飯事だったのですが、
アンドリューは、いい意味で私を特別扱いせず
「ガーナ文化を学びに来た仲間」
「次世代をつくる同世代」
として、フラットに接してくれました。
これは余談なのですが、
現地の料理でよく使われるパーム油が
わたしの体質に全く合わず、
常に下痢状態になってしまい。
挙句の果てには、ジャングルの中で
野グソした事件もあったのですが(笑)
そんな話をしても、
「大丈夫?」とか「水分をとったほうがいい」
など、ドン引きする様子もなく
体調を気遣う言葉をかけてくれました。
いつもまっすぐで優しい彼の態度に、
とても安心したのを覚えています。
将来のことや、自分の国のこと。
いろいろな話をするなかで、
改めて「アンドリューはかっこいいなぁ」と思ったし、
またアンドリューも、「なつえりはいいな」
と思ってくれていたように思います。
なんとなくだけど、
「お互いに、好意をもっているんだな」
という雰囲気を感じ始めたのはこの頃からです。
芽生え始めた恋心、渦巻く葛藤。
ガーナ大学は、村から少し離れていました。
近くに来るときには必ず私に
「今から行くけど、宿にいるかな?」
と、確認のメールをくれていました。
アンドリューが滞在先に来てくれたときは、
まず一番先に、私の存在を探してくれます。
そして、いつも優しく
「おつかれさま」
と声をかけてくれるのです。
ガツガツする様子はありません。
いつもの、物腰の柔らかい
優しい姿勢は変わりませんでした。
ある日、ふいに生まれた一人の時間。
ガーナの生ぬるい夕風を浴びながら
わたしは椰子の木陰に寝転びました。
ボーッとしている最中、
ふと浮かぶのはやっぱり彼の顔。
抱き始めたほのかな恋心を
たしかに感じていました。
…じゃあもし、
彼との恋が実ったらどうなるんだろう。
そのとき、ふたりの未来はどう変わるんだろう?
実際に想像してみると…
楽しいどころか、だんだんと暗い気持ちになってきました。
大学卒業までは何年もある。
彼はガーナのために頑張りたい人だし、
私だって日本で就職したい。
遠距離恋愛をするにしても、
日本とガーナではあまりにも距離がある。
(金銭的余裕がなく、当時はそう感じました。)
だから…
私たちの未来は、
きっと交差しないだろうな。
いまここで両思いになっても、
あとで苦しくなるのは目に見えている。
だったら、
あまり深入りしないほうが
いいんじゃないのかな?
この先どうしたらいいかは、
まったく分からない。
でも彼のことを好きな気持ちは
消えてくれません。
私の頭の中は、
葛藤とジレンマでぐるぐると
回っていました。
答えなんか出でないし、
アンドリューに決定的な言葉を伝えられないまま、
滞在期間はあっという間にすぎていきました。
ラブソングを踊りながら見つめ合う、クラブの夜。
とある日の夜。
ガーナ滞在もクライマックスだし、
ボランティアメンバーみんなで町に出て
ダンスクラブで歌って踊ろう!という流れに。
ガーナの若者たちは、
とにかくダンスが上手い!
よく、地元の教会や学校が
ダンスイベントを開催しているので
子どもは、大人が踊る背中をみて育ちます。
幼さの残る赤ちゃんのような子から、
アラサーに見える青年たちまで…
みんな、キレッキレで踊れるようになる。
フロアで踊る青年があまりにキレキレなので、
「あなたはプロのダンサーさんなの?」
と尋ねたら、
「え?!違うけど(笑)」
と返されるのです。
そんな地元民たちを横目に見ながら、
飲んで踊って
楽しい時間を過ごしたのですが…
やっぱり気になるのはアンドリューのこと。
どうしても、彼のことを目で追ってしまいます。
「私…しっかり恋してるやん…」
「どうしよう本当に…」
私の葛藤は、マックスに…。
ふと曲が切り替わり、
遊びにきていたお客さんたちが
ワッと一斉に沸きました。
「?」と不思議に思っていると、
いつの間にかとなりにいたアンドリューが
私の手を引いて、ダンスフロアへ連れていきます。
ちょちょちょちょ!いきなり!?
と、ドキマギする私をよそに
彼は説明します。
「彼はガーナで人気のアーティストで、
俺は、この曲が大好きなんだよね!」
きっと歌詞をすべて覚えているんでしょう。
曲を口ずさみながら、
彼は慣れたようすで
体をゆらしてリズムにのります。
サビにさしかかり…
英語とガーナの現地語がまじった
エキゾチックなムードの歌詞が響きわたります。
彼女はデザイナーを望んでいない
彼女はフェラーリを望んでいない
彼女は僕の愛を望んでいる
君の心は僕のもの
君の心は僕のもの
「君」の部分で、
アンドリューは私の目をまっすぐみつめて
人差し指で、私のことを指しました。
そして「僕」の部分で、
アンディは左胸に手をおしあてて
アンディ自身を表現しました。
彼の透明な両目がこちらを見つめながら
曲の中で歌われる「君と僕」に、
私たちが重ねられています。
その時、私は頭をガツーンと
殴られたような衝撃を受けました。
あ… いま、彼に告白されてるんだ…!
その瞬間、脳に閃光が走ったような
強烈なときめきを覚え、
そのときの絵が、
そのときの表情が、
一瞬で、網膜に焼き付きました。
そのときの映像は、
もう何年も経ったいまでも
鮮明に覚えています。
…きっと、その夜が私たちの
運命の分かれ道だったのでしょう。
本当は、
その場で彼をクラブから連れ出して
2人だけの路上で熱烈にキスしたかった。
というか、
今の私だったら、そうしたでしょう。
ガーナにもっと残る!と決意したかもしれません。
それほどロマンティックな告白をしてくれたし、
彼に強く惹かれていましたから。
でも当時の私には、
先の見えない恋に飛び込む勇気も、
気持ちの余裕もありませんでした。
あとあと苦しみ、傷つくのも怖かったので
「あの夜、嬉しかった」
と伝えることすらできませんでした。
ただただ、いつものように
友達同士の日常に戻っていったのです…。
結局、その数日後に
私は日本に帰国することになりました。
空港の外で、私はアンドリューに
なんと言葉をかけたらいいのか分からず
「必ず、また来るから」
と言い残して、飛行機に搭乗しました。
アンディも、いつもの優しい声で
「また必ず戻ってきてね」と。
あの真っすぐ透き通った目で
答えました。
それが私たちの最後でした。
あれから…
もう、長い年月が経ちます。
アフリカ大陸を襲った、エボラ出血熱の流行。
そして、新型コロナウイルスの世界的大流行。
今となっては
どんなにお金と時間の余裕があっても、
彼に会いたいという気持ちがあっても、
気軽に会いに行けるような状況では
なくなってしまいました。
あの優しい彼のことだから、
きっと今頃は
家庭ができたりもしているのでしょう。
ガーナという国を良くするような
事業にも関わっていることでしょう。
私たちの人生は、
本当に交わることなく
そのまま別れ道になっていきました。
チャンスの神様は、
二度と微笑まないこともある。
恋は美しいものだけど、
同じくらい残酷なものだと学びました。
「自分の本心を叶えてあげる勇気」をもとう。
もしあの時、私がアンドリューに
「好きだ」と伝えていたら?
「先のことは分からないけど、
この好きな気持ちに従って行動しよう」
と、勇気を出して飛び込んでいたら?
いったい、どんな感情が待っていただろう。
もしかしたら、将来が大きく変わっていたのだろうか?
… 今となっては、
すべて「たら・れば」になってしまいました。
恋愛やセックスに限らずなのですが、
“気になってたのに、一歩踏み出せなかった”
という後悔は、一生残ります。
それが「執着」や「未練」に変わるんです。
あの時、こうしていたらなぁ…
と、イヤでもずっと思い続けてしまいます。
仮に勇気を出して飛び込んでみたら
傷つく結果に終わってしまったとしても、
やることはやったしな〜
と区切りをつけられますし、
「執着」や「未練」に苦しみ続けるよりは
ずっとマシだと思いませんか?
私自身も、
「あの人に想いを伝えられていればなぁ…」
と執着するのを感じることもあったので
前に好きだったけど
忘れられない人に数年ぶりに連絡をとり、
何度か「焼き直し」をしたことがあります(笑)
でもやっぱり、当時抱いていたような
カラフルな感情や情熱って
失われていることがほとんどです。
少なくとも、同じように感じたり
燃え上がることはなくなってます。
「そのとき・その瞬間に、勇気を出せるかどうか」
人生でカラフルかつ濃厚な思い出を
いかに多く作れるかは、
この勇気次第といっても過言ではない。
一生残る思い出になるかどうか、
運命と言える恋になるかどうか。
そういう岐路って確実にあります。
私とアンドリューの物語がどうなっていたのか、
今となってはもう確かめるすべはありません。
ただ一つ学んだことは、
「自分の好奇心とか、感情に正直に生きていこう」
という教訓です。
分かれ道や、人生の岐路で
一歩踏み出せる自分になってみましょう。
恋愛やセックスでは、
勇気を味方につけながら進んでいけば
ドラマティックな人生の景色が待っています。
コメントを残す