きれいはきたない、きたないはきれい。

きれいはきたないで、きたないはきれい

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つい先日、とある夕方のこと。仕事のあと、ヘトヘトに疲れてしまった。

正解のない話し合いをしたあとは、働かせすぎたアタマの熱を冷ますまで、また使えなくなってしまう。

 

そうだ。こんな時には、ウミウシを眺めながらビールでも飲もう。

 

いま滞在している能登の穴水町は、波が穏やかな内海ぞいに広がっているまちだ。

透きとおった浅瀬には、ウミウシやナマコ、小魚たちなどが暮らしている。

ふだんの作業場から1分ほど歩けばもう海岸なので、私は、ときどきふらりと出かけては、いきものたちの生活をノンビリ眺めていた。

 

そんななかで、ウミウシを見ているとかなりのストレス発散になることに気が付いた。

彼氏から離れて作業漬けで、いわば「禁欲生活」ともいえる能登での生活。

ウミウシの、ふっくらとしてどこか隙のある、そう、まるでティンコのような丸みをおびたフォルムを見つめていると、

それへの欠乏感をおぎなえる感覚があって、ホッ….と安心感をえられるのです。

 

それに、

おだやかな波が押し寄せて、引く….

そんなユラユラとした流れに身を任せながら揺れるウミウシを見ていると、

ああ……ゆっくりだなあ…….

このままでいいんだなあ….

せかせかして焦っていた気持ちが、スーッとどっかに行ってしまうのが心地いい。

 

 

その日も、ビールをひとつ右手に握りしめて、海に突き出した細い堤防からの景色を眺めに、トコトコ向かっていきました。

海に突き出した堤防の中ほどまで差し掛かり、ふう、と一息ついて腰掛けることにした。

 

 

17時ごろ….ちょうどそのとき、山の後ろ側に夕日がおちて、だんだんとおりていく時間帯。

最初は水色とピンクの淡いまざりに思わず目を細めながら、だんだんとオレンジと青のコントラストがくっきり感じられていき、少しずつ少しずつ全体の光がおちついて、最後は黒が、静寂を連れてくる。

そんな移り変わりのなかに、身体をゆだねる。

鳥たち、動物たちも、夜がくる前のひと仕事といわんばかりに、向こう岸と、こちらの岸から、しきりに声をかけあっていましたが、暗くなるにつれて、それも静かになっていく。

 

 

そんなふうに、毎日毎日、圧倒的に繰り返されている自然の動きを、

ただただ、堤防に座って、追って….。

 

 

すこし寒い風が頬にあたるけど、

それを少しごまかすように、ビールを一口煽ってやりすごすのもなんだか心地よくて。

 

 

向こう岸にうかんで、そびえ立っている山の端が、とても美しくみえた。

すべてのことがそのなかに、収まっている。

そこに存在するべくして存在している….そんな説得力を持って。

 

 

ああ、きれいだなあ。

動じない、堂々とそこにいるんだ。

 

 

でも、ふと海に投げ出している足元に目をやると、

波がうちつけている堤防のコンクリートのカベに、ウミウシと、カキがびっしりとくっついて、

ぷくぷくした空気を一生懸命、吐き出していた。

ごちゃごちゃした小さい生き物が、めちゃくちゃ一生懸命、必死に、生命活動をしていて。

 

 

ああ、きたないなあ。

小さくてこまかいな、必死だな。

 

 

前に目をやると、

向こう岸に、堂々と美しく立っている山。

そして、

足元に目をやると、

必死にしがみついている小さな生き物たち。

 

 

でも、

あの大きな山の中にも、小さくてごちゃごちゃしたものが蠢いているのか。

 

 

きれいだけど、きたない。

きたないけど、きれい。

 

 

きれいなもので、きたないものがいきていて、

きたないもので、きれいなものができている。

 

 

ぼんやり考えていたら、だんだん黒が深まってきて、寒くて暗くなって、

足元をみたら、カベに貼りついたウミウシが夜にそなえて覚悟をきめていたのを見て、

 

わたしもごちゃごちゃした場所に帰って、

夜をやりすごす準備をすべき時間なんだなーと思って、

持ち場に帰ることに決めた。

 

 

ビールはいつのまにか、すっかりカラになっていた。

ぺこ、とアルミ缶を握り潰して、腰をあげて歩き出した。

 

 

必死で、きたないわたしも、きっときれいな完全に身を委ねていて、

完全のなかで、安心して、きたなくなろう。

 

 

ここで見たこの景色だけは、誰にも奪われない、自分だけのもので、

目の前の感受性をちゃんと受け止めることは、

自分のきれいもきたないも全部あわせのんで、認めることだと思う。

 

 

そうしていいんだよ、と、能登の海と山が伝えてくれたような気がした。

 

 

※酔ってます

 

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