僕の名前はY。27歳、男性です。
妻とは結婚して2年。付き合い始めてからは5年がすぎました。
夫婦仲は悪くありませんが、5年も経ってくると多くのカップルが悩むのではないでしょうか。
そう、「セックスのマンネリ」です。
独身の頃はお互いに実家暮らしで
事に及ぶのは、ラブホが中心でした。
しかし今はどうでしょう。
ふたりで暮らしているアパート、それのみです。
キスをして、服を脱がして、前戯もほどほどに、挿入してフィニッシュ。
特に不満なわけではありませんが、
付き合いたてのような刺激はなくなってきました。
僕たちはこれでいいのだろうか・・・
お互いに唯一のパートナー、少し冒険してみてもいいのではないか?
そこで僕はある日、つぶやきました。
「そろそろ、変なセックス、したくない?」
妻は「ハァ?」と言いました。狐につままれたような顔です。
無理もないでしょう。いままで良くも悪くも「普通のセックス」のみを楽しんできましたから。
彼女を混乱させてはいけないので、この話は早々に終えました。
しかし、僕の中で話は終わっていなかったのです。
「刺激のあるセックス・・・大人のおもちゃだ。」
もくじ
古本屋という、性のパンドラの箱を開けた僕。
しかし、スタンダードなセックスをしてきた僕たちです。
そもそも大人のおもちゃがどこに売っているのかわかりません。
変なセックスに期待しつつ、行動に移せないまま2週間がすぎました。
とある日、僕は美容院に行く予定でした。
しかし予約まで2時間・・・
久しぶりにパチンコでも行こうかと思ったその時、目に入ったもの。
そうです、「古本屋さん」です。
学生時代に先輩がバイトしていた古本屋。
いつも通り過ぎるだけでしたが、おもむろに、足が向かったのです。
この選択が、僕たちのスタンダードなセックスに終わりを告げる事になろうとは・・・。
出迎えたのは新書とTENGA。
もちろん自動ドアではなく、ガラス張りのドアを手で開けます。
まず黄ばんだ新書たちが出迎えてくれました。
古本屋特有の、ホコリのにおいがします。
そして、新書コーナーをすぎると・・・
そこには、赤と白のシマシマが。
そう、TENGAのコーナーです。
僕には新しい発見でした。TENGAって、何種類もあるんですね。
妻が「TENGA使ってるのを見たい」と言ってた気がするので、ひとつスタンダードなやつを取って店の奥に進みました。
選ばれたいと渇望するAV女優たち。
AV女優が来店するイベントののぼりの後ろに、無数のAVが並んでいました。
セーラー服から熟女モノまで、ありとあらゆるジャンル・・・
しかし僕は、あまりAVに興味がありません。強いていうなら素人モノが好きですが。
この頃にはもう、古本屋という認識はありませんでした。
最初の挨拶程度の新書のことなんて、すっかり忘れていましたから。
そして、どうか選んでとばかりに主張してくるAV女優たちを無視して、
次のコーナーへと向かいました。
出番を待ち構えるラブグッズたちとご対面。
おそるおそる足を踏み入れるとそこは、性のヴィレッジヴァンガードでした。
所狭しとラブグッズが並んでいます。
バイブ、オナホ、ローション、電マ・・・
僕は興奮しました。
これこそ、今の僕たち夫婦に必要なものだと。
まずは目の前一面に広がるバイブの数々。
比較的小さいものから、リアルなち◯このようなイカツイものまで色々。
これを使った夜、妻はどのような表情を見せるのだろう・・・緊張してきました。
しかし、彼女は初心者です、そんなに大きいものは無理でしょう。
バイブは消耗品とも聞きます。確かに形もバリエーションが多く、合う合わないありそうですね。
お手頃な「エクスティックDXハイパー」にしました。
TENGAとバイブを手にした僕は、無敵のような気持ちになりました。
AVコーナーを恥ずかしそうに歩くおじさんたちを横目に、
男女でないと使えないオモチャを手にしている。
ある意味優越感を感じました。
ここまできたら、ラブグッズを買い占めてやろう。
謎の使命感を感じて、さらに店の奥へ。
今度は電マコーナー。
しかし、電マは商品の違いがよくわかりませんでした。
全部が同じに見えます・・・
色が違ったり、形が少し違っていたり。
ピンクが好きな妻のために、ピンク色の電マにしました。
これで彼女も喜ぶことでしょう。
お会計、まさに大人の秘め事。
TENGA、バイブ、電マ。僕の両手はもういっぱいです。
なぜ偶然入った古本屋で、大人のおもちゃを両手に溢れさせているんだ・・・・??
そんな疑問すら感じながら、最後のとどめにかかりました。
レジ横のローションを掴み、お会計へ。
店員さんと直接顔を合わせないような仕組みになっていました。
なるほど、これなら僕のような恥ずかしがり屋でも大丈夫。
黒いビニール袋に入れてくれるという気遣いもベリーグッド。
探したぞ、この世の全てはそこに置いていた。
僕は意気揚々と性のヴィレッジヴァンガードを後にした。
そして僕たちは、普通のセックスを卒業する。
いよいよ、その時だ。
僕はワクワクしていた。
出張から帰ってきた妻はどのような反応をするのだろうか。
喜ぶのか。恥ずかしがるのだろうか。
「きょうは、プレゼントがあるんだ」
こんなサプライズはいつぶりだろうか?
妻の目も輝いていた。「なにかしら・・・??」
ベッドの下から戦利品、いや、お宝を差し出した。
「まあ!本当に買ってきたのね」妻は笑っていた。
僕も嬉しかった。
そして、続けてこう言った。
「わたし、今日から生理なの」
おわり。
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