きちんと悲しみ、きちんと傷つくための時間【祖母の四十九日】

祖母四十九日_サムネイル

 

広島のおばあちゃんが突然亡くなった。84歳だった。

そして先日、49日(しじゅうくにち)の法要に参加してきた。

 

そこで、ヒシヒシと感じたことがある。

お葬式などの儀式って、「死」に慣れるための仕組みでもあるんだな、ということ。

 

法要をとおして「故人が亡くなったぞ!!!!!」という事実に浸りまくると、

ある意味、強制的に感情を味わわされ、
そしてだんだんと消化されていくのです。

 

ここに、パートナーとの性生活を楽しむにも欠かせないポイントがひそんでいるなと思った。

 

祖母と母が、同時にいなくなる悪夢にうなされる日々

四十九日_2

 

おばあちゃんが亡くなったのは突然で、

ある朝起きたら「亡くなった」とLINEが入っていて、まさに寝耳に水。

死因は、本人も周囲もだれも気づいてない病気によるものだった。

 

 

大切な人が突然いなくなるインパクトは大きかったし、

お葬式に駆けつけたときに、母が悲しんで泣いている姿を見るのもつらかった。

 

 

「祖父の命日には、広島に帰って、おばあちゃんに顔を見せたい」

と思っていたんだけど、

なんだかんだ目の前の仕事に追われ、
まぁ落ち着いてからでいいか…と、帰らなかった。

その数日後になんと、訃報が入ったのだ。

 

「なんであのとき、行動できなかったんだろう」
「なんであのとき、時間は有限だって思えなかったんだろう」

さんざん悔やんでも、時間は巻き戻らない。

 

 

ショックが大きく、しばらく祖母と母がセットで突然いなくなる悪夢をよく見た。

あるときは、戦時中に命を失う夢。
あるときは、車に乗ってふらりといなくなる夢。
あるときは、見知らぬ土地で姿を消す夢。

 

 

たぶん、めちゃくちゃ恐怖だったんだと思う。

肉親がまた突然いなくなって、
感謝も伝えられずに去っていく日が来てしまうのが。

 

 

実際に家族とコミュニケーションをとることでしか、この恐怖は解消しない!

そう思った私は、

今まで「遠くの孫は来なくていいよ」と言われてきた四十九日の納骨に、
母と一緒に立ち会うことにした。

片道4時間、ローカル線に乗り継いで、そこから車で20分。
たしかに遠いけど、必要な時間だと思った。

 

 

長すぎるお経。

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で、なんやかんやで祖母宅につき、叔父一家が出迎えてくれた。

お坊さんが家に来てお経をあげてくれるので、参加者全員もそれに合わせて声に出して読みます。

これがまぁ長い。(ほんとすみませんw)

 

 

舍利弗 南方世界 有日月燈佛 名聞光佛 大焰肩佛 須彌燈佛 無量精進佛 如是等 恒河沙數諸佛 各於其國 出廣長舌相 徧覆三千大千世界 說誠實言 汝等衆生 當信是稱讚 不可思議功德 一切諸佛 所護念經(仏説阿弥陀経より)

こんな感じの文を淡々と読み上げる。

 

 

でも真面目に読み上げていくと、

極楽浄土、功徳、念仏、如来、菩薩、一切世間、など…

 

あの世とこの世〜〜〜〜!★

みたいなワードがてんこ盛りなのである。(雑すぎ)

 

 

だからお経をあげていると、死の事実にどっぷり浸かることになる。

「あぁ、本当に亡くなったんだな…」

と、ジワジワと骨に染みてくるような実感が出てくるのだ。

 

 

とはいえ、
文章が十何ページもあって、だんだんゲッソリしてくる…。

 

しまいには、

「お昼ご飯なんだろ?」
「あー、あの仕事まだ終わってないな」

などと、もはや関係ないことを
考えはじめている自分に気づく!(笑)

 

 

法要って、「死」という事実に
慣れるための儀式でもあるんだなと。

 

 

ちなみに私は、小さい頃から
15年くらい一緒にいた犬がいました。

亡くなった時にはショックだったけど、
「お葬式」というものをしなかった。

その結果、ショックを解消することができず
10年以上、リビングに遺骨を置きっぱなしにしていた。

 

やっと実家の庭にお墓を作って
納骨できたけど、

犬とは会話もできないし、
突然亡くなってしまったぶん、

うまく傷を癒せない期間が長くなってしまった。

 

 

あの世とこの世〜〜〜〜!★
亡くなりました!!諸行無常っ!!!★

こんな概念に浸りながら、
きちんと傷つき、きちんと悲しむ。

私たちには、そんな時間が必要なんだと思う。

 

 

感情に心をゆだねていますか?感じ切っていますか?

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納骨のあと、親戚と「府中焼き」を食べながら、
故人の逸話に花を咲かせた。

 

若かりし頃は、地元でも有名なべっぴんさんだったこと。

美意識が高く、洋服や化粧品は、百貨店でしか買わなかったこと。

「女性は勉強しなくていい」と育てられても、キャリアをもつ道を選んだこと。

自分にも他人にも厳しい人で、品格を忘れなかったこと。

 

 

祖母は、人工肛門だし、ヒザがわるかったのだが、

そういえば愚痴をこぼしてるのは見たことがない。

最期まで、自立した女性だった。

 

 

いままで「おばあちゃん」というフィルターを通して見てきた彼女が、

とても魅力的なひとりの女性として、立体的に感じられた。

 

 

私たちはどうして、近い存在ほど、

その大切さや魅力に気づけないんだろう。

話したいことがたくさんあったのに…。

 

四十九日_4

この気持ちを忘れないようにしたいなと思い、

肩身のダイヤモンドの指輪を2つもらって、身につけることにした。

(祖母がつけているのは見たことがない。笑
いったいどういう指輪だったのか、もう誰も分からない…)

 

 

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私たちはみな、傷つくことに恐怖を感じる。

愛しているからこそ深い部分にも立ち入りたいけど、
そのぶん、反動で大きな恐怖を感じる。

だからこそ、避けてしまうのだ。

 

 

でも、避けっぱなしのままで

もし、「接する機会」そのものが
永遠に持てなくなったとしたら、どうだろう。

 

もう話すことも、愛することも、傷つくこともできない。

そもそも意思疎通が一切できなくなってしまうとしたら?

… きっと、大きな後悔が残るんじゃないだろうか。

 

 

 

だからこそ、愛する人に感じる「感情」「感覚」を、

まずは勇気を持って味わってみることから始めよう

 

悲しみを、怒りを、よろこびを、幸せを、快感を。

心にフタをせず、そのまま味わってみること。

 

その上で、自分はどんな関わり方をしたいのか、

あとから言葉や行動を追いつかせていけば

後悔は限りなく減らせるんじゃないだろうか。

(ゼロにはならなくても)

 

 

私は、祖母と母がセットでいなくなる悪夢に苦しんだ。

それは、このまま母がいなくなったら、

めっちゃ後悔するだろうなという「恐怖」なんだと自覚した。

 

だからこそ、両親との時間をもっと大切にしようと決めた。

 

 

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そこで今年の母の日には、少し背伸びをして

リッツ・カールトン東京でランチをご馳走した。

 

お金をかけただけじゃなく、

「これから人生をどうしていきたいと思ってるの?」
「実家の事業を、どうしていきたいと思ってるの?」

など、思い切って聞けてよかった。

知られざる母の姿や、女性としての弱さや強さも、
いろいろ見えた機会だったと思う。

 

 

お墓参りの習慣も、大切にしていきたい。

お墓は先祖や故人の象徴だし、「身近な人を味わう」行為でもある。

 

自分のルーツについては、感謝だけでなく、
憎しみや怒りや後悔などが混じってる人もいるかもしれない。

そういう複雑な感情もひっくるめて、
「味わいに行く」という行為でもある。

 

墓前で手を合わせながら頭の中で誰かや何かとの思い出を偲んで、
手にとって眺めてみること。

そんな習慣で、感情の味わい方が磨かれていくとも思う。

 

私は、本当に幸せなセックスを
「お互いの心身を味わい合うもの」と定義してます。

 

でも「味わうって何!?」って人もいるし。
感情センサーがそもそも開発されてない人には難しいのかもしれない。

 

 

だからこそ…

もしも、お墓参りを習慣にしているのならば、

まずはそこで感じたことを言葉にしてみてはどうだろうか?

 

 

感情の味わい上手…もとい、

セックス上手にちょっと近づくかもしれません!

 

 

と、そんなことを祖母の四十九日で思ったのでした。

 

 

2 件のコメント

  • 家族がいつ何が起こって会えなくなること
    この満ち足りた生活がいつ壊れてしまうこと
    こんなことは本当に自分の身に起きることなんだ と
    だからこそ夫や子供 母親たちとの生活を
    大事に過ごしていくように心掛けてます

    でも普通の人は満ち足りた生活が壊れてないし
    大事な人といきなり会えなくなる経験をしていないから家族の不満や文句をしょっちゅう言うのかな
     
    だから夫との触れ合い セックスってかけがいのない
    ものですよね

    って周囲の奥様や友人の言っても理解してもらえないのでナツえりさんにつぶやいてみました

    • yanoさま、コメントいただきありがとうございます。

      >夫や子供 母親たちとの生活を
      大事に過ごしていくように心掛けてます

      素敵です!私も見習いたいなぁと思いました。

      本当にその通りですね…
      いまある日常は当たり前じゃないですよね。

      性生活は繋がりを心身ともに感じられる貴重なひとときですよね。
      これからも楽しんでいきましょう♡

      いつでもつぶやいてください♡

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